ふく料理(福を呼ぶ出会い)

 

ふぐの美味さというものは

実に断然たるものだ

と、私はいい切る。

 

これを他に比せんとしても、

これにまさる何物をも

発見し得ないからだ・・・

 

そのように

「北大路魯山人」は表現。

 

あの魯山人が

珍しく

大絶賛しているので

この続きを少しご紹介します。

 

ふぐの美味さというものは、

明石だいが美味いの、

ビフテキが美味いのという問題とは、

てんで問題がちがう。

 

調子の高いなまこや

このわたをもってきても

駄目だ。

 

すっぽんはどうだといってみても

問題がちがう。

 

フランスの

鵞鳥の肝だろうが、

蝸牛だろうが、

比較にならない。

 

もとよりてんぷら、

うなぎ、すしなど問題ではない。

 

ここまで言った後、

 

さらに魯山人は画家に例え、

 

光琳か宗達か。

なかなか。

では元信ではどうだ、

又兵衛ではどうだ。

まだまだ。

 

光悦か三阿弥か、

それとも雪舟か。

もっともっと。

 

因陀羅か梁楷か。

だいぶ近づいたが、

さらにさらに進むべきだ。

 

しからば白鳳か

天平か推古か。

 

それそれ、すなわち推古だ。

推古仏。法隆寺の壁画。

それでよい。

 

ふぐの味を絵画彫刻でいうならば、

まさにその辺あたりだ・・・

 

と表現。

 

魯山人がそこまで言う

天然の「ふぐ料理」を食べたい。

 

しかし、

 

誰と食べるか・・・

 

そんな相手に

 

私を選んでいただいた

山口先生に

 

心より感謝申し上げます。

 

 

昨日は、

 

武士道美術館を

いつも温かく見守って

いただいております

 

長崎・千斎会道場の山口先生と

夕食を

ご一緒させていただきました。

 

居合人であり、

ドクターでもある山口先生が

博多にいらっしゃる

 

しかも、夕食を

ご一緒させていただけるなんて

とても嬉しいことです。

 

それは、長い間、

武士道美術館を通じて

 

山口先生のコメントに励まされ

私が活動を続けてきたこともあり

 

直接、お会いして

ゆっくりお話を

お聞かせいただけることが

さらに私の活力になるからでした。

 

先生が博多で「ふく料理」を

ということで

やってまいりましたのは

料亭「桜坂・観山荘」。

 

福岡の景色が一望でき、

大切な方と時を過ごすのに

素晴らしい料亭です。

 

さらに武士道美術館のメンバー

御木さん、松石さんが

書・デザインを担当されております。

 

ちなみに「ふぐ料理」。

「不具」という言葉を避けるために

「ふく(福)料理」とも言います。

 

戦国時代より、公には

禁制とされていたのがフグ食。

武士達も簡単に食べることが

できませんでした。

 

しかし、初代内閣総理大臣

「伊藤博文」公が

 

下関でフグを食べたところ

その味に驚き、

フグ食の公許を与えたことから

全国的にフグが食べられるように

なったのです。

 

今宵は

玄界灘、響灘の荒波にもまれた

歯ごたえ、甘味が格段に違う

天然のふぐコースをご紹介します。

 

まずは

先付 自家製笹豆腐

小鉢 月替わり小鉢2種

 

 

まず、豆腐を

お醤油なしで食べると

フレッシュチーズのように

甘さが口の中に広がり、

 

次に

少しのお醤油と豆腐に

 

甘めの冷酒を飲みながら、

いただくと

それぞれの魅力が増す組み合わせ。

 

 

そして「天然ふぐ刺」

私のカメラで撮影していますので

申し訳ありませんが

鶴のデザインに

盛りつけられた「ふぐ刺」。

 

日本の料理は

食べるものでもあり、

見るものでもあり、

 

見るものである以上に

瞑想するものと

谷崎潤一郎が言ったように

 

食べる物の味わいに思いを

ひそめる時、

いつも自分が三昧境に

惹き入れられるのを覚える

まさに

そのような感覚で「ふく刺」を

鑑賞しておりました。

 

 

続いて

焼物 ふぐ白子焼とふぐ塩焼き

 

白子はオスのふぐしか

取ることができず、

さらに産卵期となる冬季から

初春にかけての時期しか

おいしく味わえない部位で

 

ふぐの中でも

最も貴重な部位。

 

非常に柔らかい食材であるため、

強く焼きすぎると表面が硬くなり、

食感が損なわれてしまうので

焼き加減が重要。

 

食べますと

 

絶妙な焼き加減で

さらに日本酒と合います。

 

そして、ここで

フクの「ひれ酒」が登場。

 

鰭(ひれ)をあぶり焼いて、

燗酒に入れたものですが

香味が酒にうつって

 

日本酒の飲み方としては

独特の風味で

根強い人気があります。

 

 

その温かさ

まるで

阿蘇・黒川温泉の湯につかって

身体のしんまで温めたような

やすらぎを

この一杯の「ひれ酒」が

与えてくれるのです。

 

また、その酒を

山口先生と

居合道、文化、歴史、

仕事の話などを

させてもらいながら飲める。

 

そのことに感謝。

 

インターネットという

デジタルな世界から発信した

このブログの先に

人と人が出会う素晴らしさ。

 

あらためて、これが

武士道美術館の

「つながる、仲間を作る」

楽しみなのだと実感しました。

 

 

また、これは私達にとって

ただの飲み会ではなく、

 

茶会のように神聖なものにも

感じられ、

 

「賓主五換(ひんじゅごかん)」

どちらか片方がもてなすのではなく、

賓が主になり、主が賓になる

 

でも、それは

居合道で言う

「間合い」を大切にする心が

なければ楽しめない。

 

立ち位置を心得ているからこそ

溶け合うことができる

 

そんな大人の空間を

味わうことができました。

 

 

そんな男二人の飲み会に

中居さんが

ちょうどよい間合いで

「ふぐ唐揚げ」を。

 

おっと!

中居さんも

居合道の達人か?

 

お主なかなかやるな

と言いたいほど

素晴らしい気くばり

 

そろそろ

お鍋の用意をしていただきます。

 

 

ふぐちり 白菜・白葱・椎茸・春菊・豆腐

野菜の甘みと

ふぐの香り

寒い季節に鍋料理は格別です。

 

そして最期は「ふく雑炊」を。

 

 

優しく「よかよか」と

笑う山口先生。

その温かさに

いつも励まされながら

活動を続けております。

 

よくTV局様や

雑誌関係者の皆様からも

コメントをいただきますが

あくまでも個人のブログ

 

仕事の合間に

趣味で活動しているもの。

 

だからこそ、

山口先生の応援が

いつも心の支え。本当に感謝です。

 

そう言えば、

 

私「厄年」でした

と言いますと、

 

じゃ「ふく料理」で

「ふく(福)」を呼ぶ

と先生は笑いながら

厄払いの飲み会となり

 

武士道美術館

「つながる楽しみ」は

最高の記念日となりました。

 

ふく料理で

福を呼ぶ出会い。

 

山口先生に心より感謝いたします。

本日はありがとうございました。

 

 

 

資料:「魯山人の食卓」グルメ文庫、角川春樹事務所

河豚は毒魚か 北大路魯山人

桜坂観山荘ホームページより

 

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2 Comments »

 
  • 山口 耕一 より:

    まさか、太田先生とご一緒させていただいた博多の「ふく料理」を「武士道美術館」にて紹介していただくとは、思ってもいなかったので驚きました。私こそ、太田先生のデザイナーとしてのお話・居合道に対する見識と情熱をお話していただき、感動するばかりでした。余りにも心地よく楽しいので、時間が過ぎるのが一瞬だったような気がします。それに、太田先生の実直で深い思いやりが、「ふく料理」の美味しさをさらに深い味にしていただいたような得した気持ちにさせていただきました。お互い、立場は違いながらも居合道を通じ目指す武士道精神は形を変えて、相通じるものを感じます。これからも、よろしくお願いします。

  • 山口様

    こちらこそ本当にありがとうございました。
    居合道と武士道美術館を通じて
    山口先生と出会えたことに心より感謝いたします。

    WEBサイトでは語れないほどの貴重なお話を
    たくさん聞かせていただきまして
    大変勉強になりました。

    ぜひ、熊本にも遊びにきてください。
    今後もどうぞ宜しくお願いいたします。
    太田

 

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