大甲冑展(博多阪急 2014)
具足とは
不足なく十分に
備わっていることを言い、
戦国武将達が生きた
室町から安土桃山時代に作られた鎧兜を
「当世具足」と言います。
この「当世具足」こそ
甲冑の中でも最も人気があり、
その理由は
実戦の中から生まれた
「美しさ」にあると思います。
武士が武力だけでなく美しさである
「美術力」「文化力」も同時に持たなければ
領民をはじめ臣従させた武将達に威厳を
示せなかったことを表しています。
2014年3月2日(日)
博多阪急 7F
イベントホール「ミューズ」にて
黒田官兵衛と戦国乱世の英雄たち
「大甲冑展」が開催。
「当世具足」が現代に甦りました。
今までも様々なイベントで
お世話になった
鎧兜甲冑工房「丸武産業」さん制作の
甲冑が多数展示されていました。
会場は大盛況です。
まずは黒澤明監督の映画
「乱」の甲冑がお出迎え。
さて、皆さんは
甲冑を見て誰のか
解りますか?
これは
織田信長公の甲冑。
続いては
今年2014年の大河ドラマと言えば
この武将。
最初、本で
この兜のデザインを見た時に
思わず「ぷぷぷ」と笑ってしまい
なんだ?この茶碗頭〜
と正直・・思ったのですが
福岡市博物館で
実物を見た時、
その格好良さに驚きました。
それは「福岡藩三代藩主光之」が
作らせた写しだったのですが
胴は鉄伊予札を
赤みを帯びた革で包み
黒糸で素威にし、赤でデザインされた
渋い甲冑。
ご存知「黒田官兵衛」の甲冑。
黒田の赤合子として戦場に名を馳せた
天才軍師・黒田官兵衛のシンボル。
竹中重治(半兵衛)とともに
「二兵衛」と双び称された秀吉の参謀。
関ヶ原では一万規模とも言われる
兵を率いて戦った官兵衛は
城作りも戦術も上手だったと言いますが
なかなかセンスも良いですね。
インターネットにて甲冑を発見しました。
サイズなどはご確認くださいね。
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さて、
続いては「武士道美術館」
「肥後金工・利休七哲」
と言えば「この人」
何とも言えない侘び寂びの渋い美学
戦国武将一の芸術家と言われ
多くの武将の兜を
デザインしてあげた武将。
肥後拵も含め、けして派手ではないが
実戦では一番使いやすいと評価の高い
「越中」と言えば
細川忠興公
のちに三斎と名乗ります。
渋いですね。
篭手(こて)、佩楯(はいだて)、
臑当(すねあて)は簡素な小篠を使う
細川三斎流のデザイン。
肥後金工、肥後拵にも同様に
利休居士から受けた
茶道の美学を感じる渋さ。
私は個人的に一番好きな具足です。
頭につけられた
山鳥の尾が素敵ですね。
それにしてもよく作ってあります。
そして・・・
石田三成 甲冑。
私、石田三成 甲冑も好きです。
歴史では悪者に描かれますが
石田三成公の豊臣に忠誠を誓った
武士道精神は素晴らしいと思います。
ネットで端午の節句 着用鎧
五月人形 石田三成 甲冑を発見しました。
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そして石田三成と言えば
大谷吉継。彼も武士道。
好きです。義に生きる男。
そして「義」と言えば
この人も
上杉謙信。
白狐に乗った
烏天狗形で表現された飯綱権現は
名だたる武将に信仰された
戦勝の神様。
その飯綱権現をシンボルにした兜。
わずか十四歳で
越後国内を平定したと言われる謙信。
熾烈な戦いで毘沙門天を始めとする
神々への信仰は深まったのです。
そして謙信と言えば
こちらは
武田信玄。
実は信玄も先程、謙信がシンボルにした
飯綱権現を信仰し、戸隠神社に自筆の
願文を納めています。
「名将言行録」によると
のちに参拝した謙信が、自分を呪詛する
信玄の願文を見て
「弓矢を取る身の恥である」と笑ったとのこと。
信仰の面でもライバルだったのが
面白いエピソードですね。
そして大河ドラマ「天地人」
直江兼続。
「愛」は愛染明王、
または愛宕権現を意味し
謙信と同じく軍神を大切にしていました。
上杉家に一生を捧げ、
上杉景勝を支えた名参謀。
この人も大谷吉継や上杉謙信と双び
「義」の人だったと思います。
秀吉の死後、家康に対して
公然と対決姿勢を鮮明にした根性
凄いです・・・
兼続がしたためた「直江状」から
天下分け目の
関ヶ原に突入しましたね。
そして
こちらも同じく大河ドラマの
繋がりで「黄金の兜」
誰でしょうか?
前田利家。
「利家とまつ」面白かったですね。
それにしても派手な金ですが
信長以上に「傾いて」いたと言われ
女物の着物の端切れや、獣の皮をあしらった
奇抜な着物をまとって城下を練り歩いた
エピソードもあります。
「傾く」と言えば
前田慶次が有名ですが
この甲冑を見ると利家もかなりの
「傾きもの」ですね。
そして
続いての武将も
大河ドラマになりました。
かなり前ですね
渡辺謙さんが主演したと言えば・・
伊達政宗。
黒漆五枚胴具足と言われ
黒漆塗の板金五枚を
蝶番で繋いだ五枚胴は別名「仙台胴」
とも呼ばれています。
戦国一の芸術家
細川忠興とも交流があり、
美的センスを
お互いに認めていたようです。
派手好きとも言われますが
現在で言うところの
「ブランディング」を
この時代から理解しており、
朝鮮出兵の際には
豪華絢爛な軍装を家臣達に統一させ
上洛した京都の人達を「感嘆」させ、
今でも「伊達男」や「伊達者」という
言葉の語源になったと言われます。
いかに日本人を説得するのに
「美術力」が必要かを物語っていますね。
続いては九州
大分の武将と言えば
大友宗麟。
まばゆいばかりの黄金。
このように鎧甲冑が並ぶと
迫力があります。
しかも今、大河ドラマ
「軍師官兵衛」を見てますから
さらに楽しめます。
多くの人が撮影していました。
また、
意外に女性が多かったです。
この他、会場では
甲冑着付け体験も行われていました。
さて、
いよいよ最期は
人気の高い武将の甲冑です。
「六文銭」と言えば・・・
真田幸村。
赤が鮮やかで美しいですね。
実は
物語や漫画などの影響で
「真田幸村」の名前が浸透していますが
実際は「真田信繁」と言い、
信繁自身が「幸村」と名乗っている史料は
発見されていません。
わずかな手勢で
家康本陣に正面から突撃し、
家康の馬印を倒すほどに肉迫したという
エピソードが
真田信繁を英雄にし、そんな人気から
物語の主人公などになっていったのでしょう。
日本一の兵 真田幸村の赤備えが、大阪合戦屏風を元に再現され 現代に甦る!!端午の節句 着… |
さてさて
とても楽しいイベントでした。
戦国時代の武将の顔を
誰も見たことがないのですが
甲冑を見ながら、
想像していくことが
また面白い。
武士の美学は
本当に素晴らしいですね。
丸武産業 株式会社の皆様、
また
関係者の皆様に心より感謝いたします。
本日はありがとうございました。
資料:日本文芸社 戦国武将の守護神たち
笠倉出版社 戦国武将兜百選
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