刀鍛冶の掛け軸(平和に繋げる武士道)

これは、我が家に伝わる古い「掛け軸」。

己の精神を研ぎすまし、集中する一人の男。

相槌を打つは、2匹の鬼。

彼らが集中している先は

日本刀(剣)。

 

鋼をおよそ1300度まで加熱し、

鍛えて不純物を叩き出し「日本刀」を作る絵。

 

これは

珍しい「刀鍛冶の掛け軸」です。

日本独自の伝統文化と技術を集約した日本刀。

 

この日本という国は

剣(つるぎ)から生まれたという伝説があるように

私達にとって剣(刀)は神聖なもの。

 

それを作っていたのが刀鍛冶です。

お寺に阿吽(あうん)の呼吸の仁王像があるように

陰と陽、2つの世界の存在を表現し、

結界をはって神域と現世を隔てる。

朝日と、

月夜。

神社の狛犬(こまいぬ)を見ると・・・

 

阿(あ)は生まれた時に、口を開いて最初に出す音(生)、

吽(うん)は口を閉じて出す最後の音(死)であり、

 

それぞれ宇宙の始まりと終わりを表す言葉を

狛犬が叫んでいるのがわかります。

生と死、善と悪。

 

そこに結界をはり

男は命をかけて、鬼を従え、全身全霊で刀を打つ。

刀鍛冶の勝負は命がけでした。

 

かつて正宗は

刀の切れ味を決める焼き入れの際の水の温度を知ろうとして

水に手を触れた弟子の手を斬り落とした・・・

神の領域の極意は誰にでも教えられなかった。

三条宗近は

稲荷大明神の化身と刀を作ったと言われ、

命を削って神の領域に踏み入れたと言われています。

ふいごの前に立つ鬼の口も

阿(あ)と、

吽(うん)。

 

この絵には、生きることと死ぬという大きな宇宙の法則の中で

人間が何をしなくてはならないのか?

を考えさせられます。

人を殺すための刀を

人を活かすための刀にした日本人の「精神性」に

大きくつながるヒントになりました。

刀鍛冶のスピリッツは「武士道」のルーツ。

八百万(やおよろず)の神がいた国に

仏教が伝来し、

儒教の精神を組み合わせて生まれた「武士道」ですが

 

日本刀を単なる武器や工業製品としてではなく

計り知れない「芸術」に高めた「刀鍛冶」がいたからこそ

生まれた文化なのだと思います。

 

そして私は、

「武士道」を戦争のための精神ではなく

平和に繋げる精神にしなければならないと願うのでした。

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