パリ・モナコと武士道美術

 

4年前に訪れたパリ、モナコ。

 

いろんな ご縁があって

行くことになり、関係者の皆様に

心より感謝しています。

 

さて、

 

私は

日本から遠く離れた

このヨーロッパの地で

あらためて「居合道」や

「武士の美学」を

深く意識することになりました。

 

 

華やかな装飾、

歴史ある石の建築物。

とにかく「花の都」に

圧倒されるばかりでした。

 

 

しかし同時に

「日本人である誇り」も意識しました。

 

 

訪れた店で

ヨーロッパならではの職人技に出会います。

 

 

 

古いものと新しいものとが

共存する街を歩きながら

西欧デザインへの憧れも芽生えます。

 

 

そうやって歩いていると、また

日本人として

何かを表現したい想いが

溢れてきたのでした。

 

 

 

答えは見つからず、街を歩き続けました。

 

 

 

 

パリという日本から

かなり離れたところだったからこそ

自分の国を意識できたのだと思います。

 

 

 

 

パリには「コレット・colette」

と言う店があります。

 

ここは

世界の最先端なものを結集させた

セレクトショップ。

 

 

※一緒に行ったのはカメラマンの山崎さん。

ファッション雑誌などで活躍されています。

 

 

この場所で

海外のバイヤーがセレクトした

デザインを見学しました。

 

ちょうどショーウインドウを

日本のアートディレクター

野田凪さんがデザインされていました。

 

 

翌日、仕事で

パリコレクションの現場に

入らせていただくことになり

モードの世界を見学。

 

パスがなければ

中に入れない

特殊な会場の中で

私は日本を

俯瞰して見る体験をしました。

 

 

ヨーロッパと日本。

 

この正反対の文化の中で私は

あらためて

日本らしさを考えました。

 

 

また、私はフランスの人に

自分の作った作品を見せたところ、

 

彼らが興味を持ってくれたのは

私がデザインした

日本の「家紋」のデザインでした。

 

 

自分には見飽きている

日本の家紋が

「素晴らしい」という彼らに

私は日本の

伝統文化を再発見させられました。

 

 

 

そして私がその時

頭に思い出したのは

自分が、子供の頃から囲まれていた

「日本刀」や「刀の鍔」でした。

 

 

 

左右対称のデザインと

美しいものを金で塗るという

正確なヨーロッパの文化に対し

 

 

肥後金工の名工

「林又七」が作った破扇鍔のデザインは

左右対称ではなく、

「間」を見せる美学と

「破れた扇子を

金で塗る」という表現でした。

 

 

 

この「滅び行く物に

金を塗る」という肥後金工の美学を

私はパリで再確認したのです。

 

これは日本にしかない表現だと思いました。

 

美しさを表現する言葉に

「渋い」という味を現す言葉を使うのは

日本人だけだと聞きました。

 

まさに肥後金工には「渋さ」があります。

 

 

その美学の源流は

足利義政から千利休。

そして細川三斎へ受け継がれ

熊本県にやってきた「侘び寂び」の美学。

 

熊本に住んでいる人達からも

忘れ去られようとしている

「日本の美しさ」を

遠いフランスで意識することができました。

 

 

「秘すれば花なり」で有名な能の

世阿弥の言葉に

 

「鬼を演じる時は心やさしく演じなさい」

「老人を演じる時は若さを心に持ちなさい」

その対立している世界をひとつにすることで

より演技に奥行きが生まれるというのがあります。

 

 

林又七が肥後金工に見せた美学も

世阿弥に近い表現です。

 

対立する2つの世界。

 

例えば

生と死という二つの世界を持って

人間が生きることを

表現の中に閉じ込めるという

仏教や禅の深いテーマが

武士の芸術には

あったように思いました。

 

 

西欧と東洋の強烈な対比。

フランスは

私の創造の原点になりました。

 

今後はパリの皆様にも是非、

日本の伝統

「武士の美術」の素晴らしさを

ご紹介できれば幸いです。

 

 

 

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