幸若舞を訪ねて(その2)

 

 

福岡県を代表する

文化的な行事と言えば、

 

「博多祇園山笠」が有名ですが、

 

福岡県で

 

一番最初に

 

「国指定重要無形民俗文化財」に

指定されたのは

 

「山笠」ではなく、

 

みやま市・瀬高「大江」にある

「幸若舞」でした。

 

 

 

では、なぜ?

 

「大江」という小さな町の

「幸若舞」が

最初の無形文化財に選ばれたのか?

 

それは、

あの「信長。秀吉、家康」という

天下人達が愛し、

 

わが国の中世芸能として

約700年の伝統に輝いた舞楽であり、

 

日本で

この場所にしか

残っていないからです。

 

 

 

ちなみに

「人間五十年

下天のうちをくらぶれば

夢幻の如くなり」

という映画やドラマで有名な

信長の舞の本当の姿を

 

ほとんどの日本人は

見たことがありません。

 

私達が今まで見ていたものは

「能」で表現されたものであり、

実際は「幸若舞」だったのです。

 

幸若舞は

13世紀半ばの「白拍子の舞」が

母体にあり、その後、

14世紀半ばに「曲舞(くせまい)」に

変化し、「幸若舞」へと受け継がれた

と言われます。

 

 

幸若舞は

室町初期のころ

武士道鼓吹の舞曲としてはじまり

足利時代より信長、秀吉をはじめ、

徳川幕府の初期まで幾多の武将に愛され、

 

また諸国大名によって奨励されたため、

大いに隆盛をきわめました。

 

徳川の中期より、時代の流れ、

趣味の変化、能曲、俗歌が盛んになるに

したがって次第に衰え、

 

その発祥地の「福井県越前町」でも

後を絶ったのですが、

 

福岡県みやま市瀬高町大江に

「大江のめえ」とよばれて昔日の姿を

そのままに伝えているのです。

 

 

教えてくださったのは

佐賀大学名誉教授の

松尾正幸先生です。

 

なんと

当日は松尾先生が

直接、「幸若舞」の魅力を

解説してくだいました。

 

先生の講義は楽しく、解りやすく

 

時にはユーモアを交えながら

進めていかれるので

会場の皆様も大満足の様子でした。

 

 

さて、

幸若舞の起源として

大江に伝えられている系譜によれば

 

幸若舞の創始は源義家八代の後胤

桃井播磨守直常の三男修理亮直信

幼名「幸若丸」です。

 

桃井の性の起こりは四代目義胤が

上州(群馬県)に居住したためと

されています。

 

幸若丸は幼児比叡山にのぼって

和漢の学を修め歌曲を読み学術に

はげみましたが、その頃、

双紙一部三十六番があり、

 

これに節、拍子を付けて、歌い舞い、

これを「双紙舞」と呼んでいました。

 

 

幸若丸は

天性口拍子にすぐれていたので、

従来の節拍子を研究し新調を

こころみた所、吟詠晴朗で、

音声律にかない、幽玄な舞振は見る人を、

おどろかせます。

 

その後、幸若丸は父にしたがって

越前にかえりましたが、

 

父の死後

京都に出て、天皇の御聞に達し

上覧に供した所、賞賛を受け父の

封地越前に百町の領地を賜ります。

 

このころから世に知られ、

門人も多くなり、幸若丸の子

弥次郎直茂の代に本性桃井をあらため、

幸若と称して、この舞を

「幸若舞」と呼ぶようになりました。

 

 

舞台では

大江小学校の生徒の皆様による

「幸若舞」が始りました。

 

松尾先生は、幼少の頃の「幸若丸」を

イメージしながら鑑賞することを提案され、

私達も、「幸若丸」が

目の前で甦ったような感覚で鑑賞しました。

 

 

子供達の素晴らしい「幸若舞」に

会場の皆様も満足されていました。

 

さて、

発祥の地と言われる福井県越前町にも

後を絶った「幸若舞」が

なぜ?

この九州の「大江」にだけ残ったのか?

次回は、その謎について迫ります!

幸若舞を訪ねては(完結編)に続きます。

 

 

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