九州地区昇段審査(平成25年度)演武編
「格調高き無限の品位と風格のある境地」
これは、
無双直伝英信流・第二十代宗家
河野百錬先生が居合道に必要な
「正・速・強・威」の
「威」に対して表現した言葉です。
多くの剣士が目指す
「居合道」の素晴らしさを表現した言葉であると
実感しました。
平成25年3月17日(日)
熊本市の龍田体育館にて
全日本居合道連盟・九州地区・昇段審査が開催。
今年も九州各地から多くの先生達が参加されました。
今回は「居合道」を経験されたことのない方のためにも
私達の昇段審査が
どのように行われるかも解説いたします。
日本が世界に誇る「居合道」の素晴らしさを
少しでもご紹介できれば幸いです。
それでは、
まず筆記試験から。
試験は演武だけでなく、筆記もあり、
刀の名称や居合道の理念などが試験問題として
出題されます。
例えば、「全日本居合道連盟の特質」について
という問題が出題。
答えは
「我が連盟は、古来より伝承された古武道たる
居合道の各流派を正しく後世に伝承せんがため
武士道精神に則って創立された日本唯一最高の
居合道専門団体であり誇りある連盟である。」
このような問題を暗記し、解答していきます。
その後、
各段ごとに演武の試験が始まります。
段別に連盟が指定した技を行い、
その後、自分で選んだ得意技の演武を行います。
それでは、
剣士の皆さんが一年間、
稽古してきた美しい演武をご覧下さい。
居合道は「足利時代末期」から
武士が脈々と伝えてきた伝統文化であり、
「日本刀」で行う「世界でただ一つの武道」です。
平成の時代に
相手と実際に対戦することはできませんので、
審査員の先生は「様々な角度」から
総合的に審査をいたします。
だからこそ、
技の正確さだけでなく、
入場してくる時の態度、服装、目付など
細かい部分も審査の対象になります。
居合道は
仮想敵の位置、間合、体勢などを
しっかり把握しながら戦いをイメージすることによって
「自然体」になり、迫力が伴います。
業の理合を十分に会得し、
その理に基づき動作と運剣の
遅速・緩急・強弱・間合いを自得することが
求められるので奥が深く、
幅広い世代の方から愛される武道です。
身長、体重、年齢、性別を問わず、
「敵は自分」となって修行できるからこそ
こんなにも多くの皆様が修行されるのではないでしょうか?
第二十代宗家
「河野百錬」先生による
「居合道の本義と眼目」によれば、
居合道の本義は抜討の一瞬にあり
而してその修行の眼目は「正・速・強・威」なり。
「正」とは、
流儀の掟に従いて体の構え、運剣の仕方を始め、
その流儀の形を正しく身につける事。
「速」とは、
形の正の上に業の理合いをわきまえて錬磨を重ね、
速度を早くする事。
「強」とは、
正と運剣の速の上に斬撃の効果を十分ならしめるため、
手の裡(うら)の作用による当たりの強みを錬磨する事。
「威」とは、
正速強を身に得て百錬の暁、流儀の体を自得し、
遅速・緩急・強弱を悟り、残心を得て而して
「格調高き無限の品位と風格のある境地」に到達する事。
と河野先生は書かれていました。
このように奥が深い世界だからこそ
多くの先生達が
居合道の美しさに魅せられるのですね。
福岡から見学に来ていた松本剣士。
10代の若い彼が見た初めての「居合道大会」になりました。
400年前の武士が考えた「技」が
今、こうして松本君のような若い世代に
受け継がれようとしています。
本当に素晴らしいことだと思います。
受験生となった高校生の高宮剣士。
学校の勉強と居合道、
部活では茶道を稽古しています。
一生懸命に稽古している若い彼らを見ていると
「日本の未来は明るい」と思います。
それぞれの人生に
それぞれの「居合道」がある。
皆さんの素晴らしい演武に
毎回、感動をもらいます。
そして、今回も無事に昇段審査が終了いたしました。
結果は「全員合格」。
本当におめでとうございます。
全国大会の団体戦・選抜も選ばれました。
今年は「静岡」での全国大会になります。
昨年の九州地区は準優勝という快挙を成し遂げ、
プレッシャーもあるかと思いますが、
普段の稽古通りに頑張ってください。
最後に
九州地区・居合道連盟会長の岩田悠山先生のごあいさつ。
皆様、本当にお疲れさまでした。
またお会いできることを楽しみにしております。
そして
「格調高き無限の品位と風格のある境地」を目指して
今後も修行していきたいと思いますので
どうぞご指導宜しくお願いいたします。
本日はありがとうございました。
また、最後まで後片付けをしていただいた
熊本「武蔵会」の先生達に心より感謝いたします。
今回も「来た時よりも美しく」掃除がされていました。
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