教養をインストールする

 

先週、私達の道場に

中学一年生の男の子が入門してきました。

 

日本文化を学ぼうとする

若い世代に出会えることは

本当に嬉しいことです。

 

 

居合道の伝授法は、

師匠が弟子と向かい合い、

弟子が師匠の真似をすることから始まります。

 

今でこそ、本や映像などがありますが、

もともとは「口伝(くでん)」による伝承が全て。

 

そうやって足利時代から

現在まで「無双直伝英信流」は

人から人へ

継承されてきました。

 

 

よく「個性を伸ばす」とか

「個性が大切」と言われますが

 

教養を身につけていない子供に

個性を求めても難しいように

 

居合道の場合は、

「型」が「教養」になります。

 

この「型」を師匠から弟子に

「インストール」することで

弟子は「居合道」ができる状態になっていきます。

 

 

はじめて居合道を見た人は、とっても簡単のように見えます。

しかし、実際やってみると

 

手の位置、

刀を斬り下ろした位置、

振りかぶりの角度など

その細かさに圧倒されます。

 

 

その覚えきれないほど無数にある「型」を

一つずつ身につけていくと

無駄のない「美しい」動きになっていく。

 

「躾(しつけ)」という漢字は、

「身を美しくする」と書きますが、

「居合道」を見ていると、なんとなく意味がわかります。

 

最短距離の無駄のない動きは

美しく、芸術と呼べるほどです。

 

 

足の運び、一歩、半歩、

実戦で間違えれば命はありません。

 

四方を囲まれ4人の敵に

歩きながら

連れていかれている時、

どの順番から斬っていけば

自分の命が守れるか・・・

 

まわりの4人が1歩出るところを

わざと半歩タイミングを遅らせる瞬間に

4人を斬らなければなりません。

 

 

そんな真剣勝負の世界、

この世界を

師匠は弟子に繰り返し「型」で教えます。

 

そして弟子は

だんだん「身体で覚える」ようになり、

 

やがては何百回やっても、

「同じ位置に刀が動く」状態になるのです。

 

 

「型」という絶対的なものを

人間の意志とは無関係に

インストールすることが「居合道」の基本。

 

教養も人間の意志とは無関係に

インストールされて、

そこから「個性」が生まれます。

 

前衛的な絵画を描く画家も

基本があって

個性的な絵を描くように

基本というのが居合道でいう「型」なのです。

 

 

日本の伝統文化「居合道」というものを

修行してはじめて

 

居合道には人間が生きていく上での

「普遍的で洗練された方法論が完成されている」

ことに気付きます。

 

そこには、

人を殺すための「術」から、

自分と闘うための「道」へ変化した

武士道の歴史があります。

 

 

居合道の古い言葉に

「型に入り、心に至る」という言葉がありますが、

 

正しい形を

繰り返し繰り返し行うことで

「美しい心になる」。

 

 

なぜ?

アメリカ、ヨーロッパから

居合道を学びに来る人が多いのか

 

それは

日本の伝統文化「居合道」に

人間が美しく生きれるための

「教養の資源」が埋まっているから。

 

グローバルな時代だからこそ

日本の若い世代に

あらためて

教養をインストールすることを

知ってもらえれば幸いです。

 

剣は心なり、心正しければ剣正し、

剣学ばんとする前に、まず心を学べ

 

今後も全員で

若い世代を応援していこうと思います。

 

 

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