日本一になって

 

自分が日本一になるなんて

 

夢にも思っていませんでした。

これも指導していただいた塩川先生、

岩田先生、宗家、そして九州の多くの先生達、

父や弟のおかげだと思っています。

2010年10月24日

第18回全日本

居合道全国段別競技大会において
六段の部で優勝し

日本一になることができました。

 

 

負け続けた4年間の苦しみ。
自分の力を100%出しても勝てない・・・

 

オリンピックや甲子園、玉竜旗などと同じように

全日本、そして世界から

居合道を極めようとする

サムライが集結する全国大会。

 

 

各県で競合を破り

勝ち抜いた人や、
腕に自信のある日本の頂点が集まる

この大会。

その壁は高く、

九州でも数人しか優勝した人はいません。

 

 

一生懸命に練習しても奥が深く解らない。

 

この暗く長い道を

どこに向かって行けばいいのか・・・

悩み苦しみました。

今もそうですが

まるで暗い夜を

月の明かりだけで彷徨い
太陽がいつ昇るのかを

待つような年月。

 

 

宮本武蔵 二天一流15代宗家

松永展幸先生の居合を

子供の頃見た時から始まり

 

父が作った実家の道場には
林崎居合大明神を祭った

神棚があります。

 

 

そんな環境の中

2年前に日本一になった弟や

優秀な先生達からの

大きなプレッシャーから

逃れられない・・・

「この大きな壁から逃げたい」と

何度も思いましたが
ただ逃げずに向かっていくことしか

道はありませんでした。

 

 

もちろん

日本で一番になるために

練習している訳ではありません。
ただ宗家のように

居合道を極めたいと願う純粋な気持ち。

 

 

極めたからと言って
お金が稼げるわけでもなく
地位や名声が得られるわけでもない地味な

「武士道の世界」。

 

しかし
宗家や居合道を極めようとする

先生達の姿は

今まで見てきたどんなものよりも美しい・・・

私は宗家から

居合道を直接教えていただきながら

その美しさに魅せられていったのです。

 

 

いよいよ

本番の時が来ました。

ただひたすら本番前に

技の最終チェックをしていました。
この「切先返し」という技は

4回戦まで勝ち抜かなければできません。

私は6年間、この技を必死で練習してきて

1回も全国大会で演武することが

できませんでした。

 

なぜなら・・・

4回戦前で負けてしまうからです。
負ければ演武することさえできない

残酷な世界。

果たして今回はどうなるのか?

全くわかりませんでした。

 

 

いよいよ本番の時。

頭の中は真っ白でした。

勝ちたいとか、上手に演武しようとか

全く何もありませんでした。

 

 

何人と闘ったのかさえ憶えていません。

時間が止まったような気がしました。

ただ、全国大会の決勝戦には

「魔物」が住んでいるような
不思議な恐怖感が襲ってきました。

その時、

 

 

自分を指導していただいた

先生達の姿が見えました。

雨の日も雪が降る日も

遠方から教えに来てくれる先生、
仕事も忙しいだろうに

休まずに教えてくれる先生、

人生の限られた貴重な時間の多くを
私達、弟子のために

費やしてくれる先生達の情熱。

家族のように家に招いてくださり
食事をごちそうになり、

奥様から手作りの帯を

いただいたこともあります。

仕事で体調が悪い時は心配してくださり

落ち込んだ時は

声をかけて励ましてくれる・・・

本当に感謝するしかありません。

 

 

そう考え、演武に集中した時

九州の多くの先生達が

自分に乗り移ったような気持ちになりました。

決勝戦。

赤だった私に3本赤の旗が

上がっていました。

この写真のような映像しか

私には記憶がありません。

どんな演武をしたのか

何回闘ったのか全く

感覚がありませんでした。

 

若い世代の第1パート。

 

 

シニアの部の第2パート。
この2つのパートから勝ち上がったものしか
日本一にはなれません。

先生達にお伺いしたら
皆さん素晴らしい演武だったそうです。
中には私が負けても

おかしくない実力の方もいたそうです。

そんな中で私は

気ついたら最後まで勝ち抜いていました。
今でも不思議な感覚です。

 

 

私を指導してくださった塩川先生。
雨の日も風の日も先生は教えてくださいました。

先生には心から感謝しています。

そして現在も宗家のところに毎月通い
修行する先生の情熱を私は尊敬しています。

 

 

そして左から斉藤先生、岩田先生、父。

この先生達からの愛情がなければ
居合道をやめていたかもしれません。

足の怪我で正座の技が困難になっても
遠方から教えに来ていただく岩田先生。

居合道の技だけではなく

人間として大切なことは何か?
を教えてくれる先生。
生き方や男の背中で「武士道」を

教えてくれる先生です。

また、西村先生、藤先生、粟津先生、

青野先生、松本先生、

佐藤先生、弟、若先生、

関東地区の谷田先生

そして池田宗家
この先生達の指導がなければ

今の私はありません。

また私を子供の頃から支えてくださった
九州地区居合道連盟副会長 大久保先生、
全日本居合道連盟副会長の丸山先生、

天国の岡嶋先生に感謝いたします。

 


 

そして一緒に練習してきた仲間達、
また私と闘ってくださった

多くの選手の皆様に感謝いたします。

私は皆さんを尊敬しています。

自分が苦しんで闘ってきたからこそ
居合道を必死でやる人の情熱がわかります。

1年間、仕事や学校などあるだろうに
人生の貴重な時間の多くを費やし居合道を極めようとする
全世界のサムライの皆様の情熱。

それこそ「武士道」なんじゃないでしょうか?

 

 

そして来年、
また全国大会でお会いしたいです。

 

 

私もさっそく練習を開始しました。
自分の技のどこが悪いかが

わかる部分もありますし、
全国の先生から大会中に指導を受けた部分を

必死で修正します。

まだ始まったばかりです。

 

 

最後に父、弟に感謝します。

兄弟2人とも日本一になることができました。
親父と弟の情熱がなければ
居合道を真剣にやろうと思わなかったと思います。

段が上とか下とか全く関係ない。
はっきり言って皆、先生。
弟こそ私の先生なんじゃないか?と

思うこともあります。

本当にありがとうございました。
これからもご指導宜しくお願いいたします。

まだまだ先は長いので。

 

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